先に覚えるべきものと後でよいもの
作り方を覚えようとするとき、何から手をつけるのかによって、身につく速さは実のところ大きく変わってきます。工程の名前を丸ごと暗記してしまうよりも先に、実は覚えておきたいことがいくつも並んでいるからです。
最も先に来るのは、その料理がどういう仕上がりを目指しているのかという全体の像そのものになります。行き先が見えていれば、途中の工程がなぜ必要になるのかを自分の頭で考えられるようになります。
その次に来るのが、崩れると取り返しがつかない要の工程をあらかじめ見分けておくことだと考えられます。この工程さえ外さなければ、多少の揺れがあったとしても仕上がりが大きく崩れることはありません。
細かな決まりごとや飾りの約束ごとは、その後で構わず、必要になったときに確かめれば十分に足ります。この順番を逆にしてしまうと、覚えるべき量ばかりが増えていって、かえって手が動かなくなってしまいます。
覚え方を積み上げていく順序
覚え方を積み上げるときは、まず声に出して工程を追い、次に紙に書き、最後に手で通していきます。この段階を一つずつ踏むほど記憶の引き出し方が増えて、思い出せなくなる場面が減っていきます。
似た系統の料理をひとまとめにして覚えると、共通する骨組みが浮かび上がって効率が上がります。違うところだけを覚え直せばよくなるため、自分が扱える献立の数が一気に増えていくことになります。
覚えたつもりでいる工程ほど、誰かに口で説明してみると、穴のある場所がはっきりと見えてくるものです。言葉に詰まってしまったところが、おそらくまだ自分の手が納得していない部分だと考えて間違いありません。
調理師専門学校では、資格に向けた筆記の学びが工程の理由付けをしっかり支えてくれることになります。なぜそうするのかが腑に落ちている工程は、しばらく離れていても不思議と手のほうが覚えているものです。
まとめ
作り方を覚える順序にはやはり確かな優先順位があり、全体の像、要の工程、細部という並びが基本の形になります。この並びを守って進めていくだけで、同じだけの時間をかけても身につく量ははっきり違ってくるように感じられます。
覚え方の手立てにも順序があり、声に出し、紙に書き出し、手で実際に通すという流れが最も無理なく続けられます。どれか一つだけに頼ってしまうのではなく、いくつも重ねて使うほうが記憶の残り方は結局のところ確かになります。
順位をつけて考えることの大きな利点は、限られた時間を自分がどこへ振り向けるかがはっきりするところにあります。迷っている時間が減った分だけ手を動かす時間が増えていって、覚えた工程が一つずつ確かな技へと変わっていきます。